『聴解練習の中に潜む日本』

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今日は特別なブログ!!

実は10年程前に書かれた九段ブログなんです。

皆さんに読んでもらいたくて、

ブログを書いた先生に

当時の原稿をもらいました。

 

『聴解練習の中に潜む日本』

 

日々の授業は自分のためにも書きとめておきたいようなエピソードの宝庫。

先日の聴解の練習のことです。

短いやりとりを聞いて、次に流れる文と内容が合っていれば○、違っていれば×で答える練習でした。

 

男「重そうですね」

女「ええ。午後の会議の資料なんです。会議室へ持って行くところです」

男「お手伝いしましょうか」

女「ありがとうございます」

★男の人は女の人といっしょに資料をはこびます。

 

さて、この問題、○でしょうか、×でしょうか。

 

教科書の答えは、○。

でも、フランスの男子学生Jは×だと主張します。

「だって、先生、女の人が重い荷物を持っていたんですよね」

「ええ」

「で、男の人が手伝いますね」

「そうですね。『手伝う』は、もともと女の人の仕事をいっしょにすることですから、男の人は女の人といっしょに資料を持ちますね。」

と、一生懸命○に導こうとする私に対して、彼は今一つ納得がいかない様子。

 

「女の人が今持っていますよね、その荷物…」

「そうですね、で、親切な男の人が手伝いますね」

「…」

 

「女の人が持てるぐらいの荷物を、男の人はどうして全部持たないんですか。どうして女の人にも持たせたままですか。変です、先生!…だから、答えは×です」

自分の経験に照らして考えたら、どうしても理解できない答えだったのでしょうね。

聴解問題の答えの○×よりも、思わず「そうだねぇ…この男の人、なんで全部持たないんでしょうねぇ」と納得してしまった私でした。

 

そして、私は今日も一人、届いた40数冊の教科書を持って事務所を出て、エレベーターのボタンを押して、そして書庫に運び入れるのでした。

ああ、ここは日本だ…

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2020年7月30日 木曜日 4:37 PM Category: Information.